お猿?

狭い日本、まだまだ知らないことがあるものだ。

      

 

インプレッサ試乗

ゴールデンウィークの話である。

アイサイトのメリットを体感してみようと思って試乗していたとき、「この奥で住宅地が開発されるのかな?」と感じられる整備途上と思しき道路に意図せず入ってしまった。

その道は片側2車線が長く続き、最後には1車線に収束するという、よくあるものであった。

交通量がほとんどない(追越車線遅いセレナが 1台走っていただけで、その他の騒音はない)ので、 まずは一般道で出せなかった速度域での走行音などの確認をした。たまたま迷い込んだ道ではあったが、1km程度に亘る2車線路という環境は、単独テストには都合が良かった。

終点まで行ってみたが、その先には開発中の住宅地など存在せず、昔ながらの田舎の入り組んだ集落があるだけであった。どうも用途の分からない2車線路である。

復路も交通量はほとんどなく、遠くのほう(走行車線)に背の高い軽自動車がゆっくり走っているのが認知できただけ。 ここから先は特に何かテストしようと思っていたわけではないが、せっかくの試乗で遅い軽に行く手を阻まれるのは嫌だと感じ、追い越しのついでにフル加速テストをしてみようと急遽思いついた。実際、この交通量の少ない道路を外れると、いくら田舎と言えどもFB20エンジンとCVTの本来の力を試す場所など存在しないのだ。

追い越し車線に移り、フル加速中のインプレッサは左に示す絵の下から2番目の矢印の辺り(完全な2車線区間)で遅い軽に並び、瞬時に抜き去った後、道路形状に沿って走行車線に収束していった。 ミラーの中には、黒のR〇〇Xが遥か後方に小さくなっていく姿が見えた。

巷の評価があまり良くない富士重のFB20であるが、「加速性能も音もなかなかいいじゃないか」と感じていたところ、遠くの信号がになったので、スロットル全閉で減速態勢に入った。しばらくはブレーキを踏む必要がないので、何も操作することがなく、ただただミラーを見ていると、黒のR〇〇Xがだんだん大きくなってくるではないか。

スロットル全閉時にCVTの変速比を大きくしてエンジンブレーキを掛けようとするクルマがある。インプレッサのCVTはどのような制御がなされるのか確認するために早々にスロットルを閉じていたのであるが、一般ドライバーの感性からすると、スロットル全閉のタイミングは早かったのかもしれない。

それでも、高速度走行から減速に転じてさほど時間は経過しておらず、そんなに急に低速度になることはない。まだその時点では黒のR〇〇Xの巡航速度より遥かに高い速度であったはずだ。それなのに、どうして黒のR〇〇Xが近づいてきたのだろう。

 

運転手していたのはナニモノ?  ケモノ?

赤信号が近づき、インプレッサのタッチの良くないブレーキペダルを踏んで穏やかに停止すると、黒のR〇〇Xは勢いよく右折車線に入ってきて先頭に並んだ。 私が追い越した後、なんだか唐突に急ぎ出したような感じがしたが、 あれはいったい何だったのか。 居眠りでもしていたのかな? でも、すれ違い困難な入り組んだ狭くてアップダウンの激しい田舎道から出てきて、2車線路に入った途端に眠りに落ちることなどありえない。

事情がよくつかめない中、隣に並んだ黒のR〇〇Xに目を遣ると、大きな猿が運転席にいた。 そして、何やら叫んでいるのであった。 ちょっと田舎ではあるが、この日本でそんなことがあっていいのか。

不思議な光景(珍百景に出せる?)に混乱してしまい、信号がになったタイミングから少し遅れて発進すると、黒のR〇〇Xは急発進して直進車線(インプレッサの直前)に入ってきた。  やっぱり猿は交通法規を知らないのか・・・と思ったが、先ほどまではきちんと走行車線を走っていたし、信号も分かっているようであったのに。

次の信号はまたになっていたので停止した。 田舎なのに次の信号機までの間隔はとても短い。

そこで、猿がなんだか慌てた様子で運転席を離れようとした。いったい何事か???

すぐに信号がになったので、私は車線変更して直前の黒のR〇〇Xを避けて進むと、猿は慌てた様子でクルマに戻った。 いったい何をしたかったのだろう。 荷室にあるでも取りに行くのかと思っていたのに・・・

いや、もしかするとインプレッサに何か美味しそうな餌が付着していて、それを取りたかったのか。 試乗前の車両にそんなものは見えなかったが・・・ 私には。

 

チンパンジーかな?

黒のR〇〇Xは慌てて発進すると、急加速でインプレッサを追い抜き、また次の赤信号に引っ掛かってしまった。 先ほどまでゆっくり走っていたのがまるで嘘のようだ。  でも、赤信号は認識できるんだね。

この道は●●幹線という主要道路なのに信号のタイミングが非常に悪い。私はインプレッサを加速させず、ほとんどクリープのままでトコトコ走らせ、信号が変わるタイミングを待っていた。

前方の黒のR〇〇Xを見てみると、開けた窓から猿が前肢を出し、こちらを見て「早く餌をくれ」と大きく手招きをしていた。私はなんて持っていないのに。。  私は猿に詳しくないからよく分からないが、あれはどうやらテレビで人気者だった「パンくん」と同じ種類の猿なのかもしれない。

交通量の多い道で軽自動車を運転するとはなかなか高度な知能を備えた猿である。しかし、所詮は猿であり、人間が決めた細かなルールまでは知らないのであった。

   

 

戻る

 

inserted by FC2 system