油膜の残りは?
エンジン油交換の際にオイルフィルターを外すと、フィルターの上流と下流に残っていた油が多量に出てくる。 つまり、オイル交換後に新油で初めて始動するとき、オイルポンプで押し出された油がオイルラインの空隙を満たしてから、ようやく肝心なエンジン内部を潤滑することになる。 油圧警告灯を見ていると、始動後1〜2秒ほど点灯していることから、その様子を想像することができる。
油圧が高まるまでの間、金属部品の潤滑はどうなっているのか。 残った油膜でなんとか凌いでいるのか。 油圧が高まるのを待つ以外にどうすることもできないのが現実であるが、油が回っていない状況というのはどういうものなのか。
私は、2週間以上クルマに乗らなかったときには、始動前にレンチでクランクシャフトを直接回してみて、油膜が残っているか(エンジンが軽く回るか)どうか確かめている。 その経験から、通常の状態(ほとんどの油がオイルパンに落ちてしまったと思われるとき)のレンチの重さ(回すのに必要な力)を認識している。
先週末のエンジン油交換後の初動に先立ち、レンチでクランクシャフトを回してみたところ、異様に重く、動きがとても渋かった(新油は5W-50)。 2週間乗らなかった後とは比べものにならないぐらいに抵抗感があったのである。 油を排出する数時間前までエンジンは稼働していたから、2週間放置したエンジンと比べて、油膜は若干でも多く残存していると思うのだが、いったいどうなっているのだろう。
よく分からないので、5W-30から5W-50に粘度を変更したこと(粘度増加)が要因なのかと、そんなことは有り得ないと思いながらも、可能性を考えてみた。 そして、それを検証するため、オイル交換後1週間経過して、クランクシャフトを手で回してみると、5W-30使用時とあまり変わらない軽さで回った。
エンジン稼働後に回さないまま放置しておいた状態と、油を全量排出した後で新油を入れた(オイルパンとフィルター内だけは油で満たされた)状態とでは、潤滑においていったい何が違うのだろうか。 思いつくところとしては、オイルポンプが油で満たされているか否かということだけである。だが、オイルポンプを回すのに大きな力は不要である。 そうなると、オイルフィルターの下流の油が途切れたことが原因と考えられる。 つまり、2週間放置したエンジンであっても、クランクシャフトを手で回してやれば、オイルポンプが回り、オイルフィルターの下流にある油が各部へ送られ、潤滑状態が形成されるということになるのか。
ドライスタートを避けたいという思いがあり、いろいろと考えてみるが、どうもよく分からない。まあしかし、これ以上できることはないと思って諦めようか。 MARCH 2017 |
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