夏休みの帰省にはいつも高速道路を利用する。
しかし、その道路については帰省ラッシュのニュースで●●km渋滞などという情報が流れることはなく、交通量は平日のほうが圧倒的に多いのである。
つまり、休日は空いているのだ。
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今年のお盆休みは、天候不順で各地で大雨による被害が出た。
私が帰る日も朝から大雨になり、日程変更しようかと思うぐらいであったが、帰省先は晴れているとの連絡があり、予定を変えず帰ることにした。
我が家と帰省先は走行距離で60kmほど離れているだけなのに、天候が大きく異なるのは面白い。
帰省の途上、大雨の跡なのか、道路の傾斜の低い側に深い水たまりが散見された。
【Audi A8 現る】
高速道路に入ってすぐ、Audiが前方に現れた。
どうやら一世代前のA8(D3)のようだ。A8といえば、日本ではQuattroである(本国にはFWDもあった)。
そのAudi
Quattroは、片側3車線の最も右側を走っているにもかかわらず、なんだか遅かった。 まあ、中央の車線の速度よりはやや速いので変ではないのだが・・・いや、でもやっぱりおかしい。
よく見ると、A8の前方には遅い車両が数台、行く手を阻んでいた。
大雨の中、3車線の道路の追越車線上でAudi
Quattroが直後に迫っているというのに、進路を譲らないというのは、どういう神経の持ち主なのだろう。
私は、Audi Quattroがいつかそれに相応しい走りを見せてくれると思いながら、追走していた(早く帰宅できる)。そのうち、邪魔者が去ったのか、A8の速度は徐々に高まっていった。
そこで、車間距離を充分過ぎるぐらいに取っておいた。
車間距離を保つ理由は、水しぶきを受けて視界を失いたくないということと、Audi
Quattroに何事もなくてもLegacyには何か起こるかもしれないという不安があったからである(雨のアウトバーンを200km/hで走るAudi
Quattroと日本の環境に適応したSUBARU AWDではそもそも性能が違う)。
車間距離を多く取ると、その間に車両が入ってくることがある。だが、それは別に気にしない。
Audi
Quattroと同じ速さで走ってくれるのならば・・・
【PRIUS】
6速キープで快適に巡航していると、急に黒い2代目プリウスが私の前方(追越車線)に入ってきた。そして、中央の車線の車両を追い抜く際、ブレーキランプが何度も点灯した。
いったい何をしたいのだろう。
私は疑問に思いながらも、少し様子を見た。
しかし、特に深い水たまりが現れたということはなく、先行するA8がブレーキを踏んだわけでもなかった。
中央の車線に移動し前方を見ると、A8は遥か遠くに霞んでいるではないか!
Audi
Quattroを追いかけたかったわけじゃないんだね!
そうなると、私は困ってしまう。
プリウスには速く走ってもらうか、中央の車線に戻ってもらうしかないのだ。
「どちらでもいいから、早く決めてほしいなあ」と合図を送ると、なぜか、プリウスのブレーキランプが点灯した。
いったい何なんだ。運転手は呆け老人なのかな〜?
前方には何も居ないはずなのだが(A8は遥か彼方…のはず)。
3車線ある高速道路の追越車線で障害物がないのにブレーキを踏むとは、いったい何事か。
仕方なく、4速までギアを落とし、「爺様、大丈夫かね?」と合図を送ると、またブレーキを踏んだ。
先程まで順調に6速で効率良く巡航していたのに、急に燃費の悪い走りになってしまった。
タイミングよくブレーキを踏むので、私の合図は認識できているようである。
そこで、「いい加減、邪魔をするのはやめてほしいなあ」と合図を送ると、ようやく中央の車線に移動した。
呆け老人だと想像していた運転手は、なんと、30歳ぐらいの若い男であった。
そして、「俺の道をどうしてお前に譲らなければならないんだ」と不満を訴えていた。
近頃、怪しげなハーブが流行していて、巻き添えに遭いたくないと思っていたが、危うく巻き込まれるところであった。
狂った人間に人生を狂わされないようにするには、どうすればいいのだろう。
16AUG2014
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【余談】
上述のプリウスの運転手は、大雨の中でAudi Quattroを追いかける無謀なチャレンジャーではなかった。それは単なる狂人であったのだ。
だが、無謀なチャレンジャーは直後に現れた。
黒いカローラフィールダーである。
ただし、Audi
Quattroを追いかけたかったわけではない。
偶然、A8と私の間に紛れ込んでしまっただけである。
私と同じようにA8を追いかけてくれれば良かったのだが、フィールダーはとても遅い速度のまま3車線の高速道路の右端(追越車線)に居座るのであった。
再び、行き場をなくした私はたいへん困ってしまった。
「速く行くか、走行車線に移動するか、早く決めてちょうだいな!」
一度の合図でまあまあ素早くフィールダーは反応した。
ところがフィールダーは、すぐに追越車線に戻ってきた。
そして、Audi A8を追いかける私に迫ろうとしていたのだ。
なかなか良い心掛けである。追越車線を走るということは、それぐらいの気構えがなければならないのだ。
ちょっと中途半端であるが・・・
「Audi Quattroに勝負を挑もうとは思わないが、Legacyに先を越されるなんて…」
心掛けは良かったのだが、適性は如何ともし難い。
私は荒天時の安全・安心のために、日頃(晴天時)は無意味な(重い、燃費が悪い、うるさい)SUBARU
AWDを敢えて選んだのである。
しばらく頑張っていたが、いつの間にかカローラの姿はなくなっていた。
これは当然である。
荒天時のFWD車の怖さは私も良く知っている(前輪が水に浮いて空転したら、その先どこに進むのか分からない)。
この運転手は、どうやら普通の人間であったようだ(ちょっと知恵が足りないだけ)。