エンジン油の低粘度化について
このところ、燃費に対する人々の関心がどんどん高まっているように感じられる。 減税という施策も大いに関与しているのだろう。 そこで、自動車メーカーは部品メーカーとともに摺動抵抗(走行抵抗)を減らすことに力を入れているようだが、機械加工で対応できるところ以外ではオイルの粘度を下げて粘性抵抗を減らそうという動きも見られる。 現在、SAEの規格に合致しない低粘度オイルまで使われるようになっている。 何十年もの間10W-30や5W-30が標準的なエンジン油の粘度であったが、10年ほど前から5W-20や0W-20が新車に充填されるようになってきた。 オカンの原動機付き草履である2005年式L150SのEF-VE型エンジンには0W-20が採用されていた(L150Sは2002年デビュー)。ただし、EF-DET型エンジン(ターボ付き)は5W-30だ。 小さいエンジンで重い車体を動かす軽自動車の燃費は良くないと思われていた時代であったが、ダイハツは設計の古いEF型エンジンに0W-20のオイルを使えるよう改良し 少しでも燃費を稼ごうとしていたようだ。それでもターボ付きエンジンには低粘度オイルが適用されなかったのは何故だろう? 機械工作の技術が低かったのか。それともオイルの性能が低かったのか(2002年時点でSLが最高グレード)。
これはよく見るエンジン油の粘度を示す表である(SAEが発行するもの)。
規格外オイル 最新の低粘度オイルはSAE 0W-20に合致しないほど粘度が低いという。低粘度オイルを使うと、粘性抵抗が減って燃費が良くなるのだろうか。そんなに微妙なところまで追い求めないといけない時代なのか。 SAE粘度グレードから外れたオイルというのは、実際のところどれぐらいの粘度を示すのだろう。SAEの表に当てはまらないということは、次のいずれか、または両方が考えられる。 ▸ SAE 20の「100℃の動粘度が5.6〜9.3cStの範囲」を外れる。 ▸ SAE 20の「HTHS粘度が2.6cP以上」を外れる。 日産/三菱がDAYZ/eKワゴンで使い始めた低粘度オイルについては、三菱自動車の販売店で聞い て初めて知ったが、それをターボ付きエンジンにも使うというのは凄いことだ。
エンジン油の低粘度化の流れは日本だけに留まらないようで、SAE粘度の低い方(20以下)を細かく分類し、新たに16が加わるようだ(2013年4月)。
SAE 16とSAE 20のオイルは100℃の動粘度で重なる部分はある。HTHS粘度と合せて分類することになるのだろう。 日産/三菱、ホンダの低粘度オイルはこの変更によってSAEに合致する ことになるのだろうか。 ---------------------------- SUBARU販売店ではelfやCastrolのオイルを純正扱いで販売しているが、それらの粘度は10W-50や5W-40であり、ちょっと時代に合わなくなってきた。SUBARUの多くの車両の指定粘度は5W-30で、0W-20を使うモデルが増えてきたのだから。 そんな時代なので、elfから0W-30という商品が追加された。これはILSAC GF-4/5(低燃費)に合致させず、ACEA A3(HTHS粘度>3.5cP)に適合しているのが良い。 私はこんなオイルを待っていたのだ。「こんな」とは、SAE 30(低粘度)& A3またはC3(高い油膜強度)に合致するもの。そういうオイルは燃費を重視する日本車向けにはなかなか設定されていないのが現状だが、例外的にトヨタとマツダの用品でCastrol EDGE C3 0W-30がある(→ 高い油膜強度を必要とするAudi A1に使うために買った)。 在庫のCastrol 5W-40を使い切ったら、elf 0W-30を使おうと思っている。 |