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ホイールを車軸のセンターにフィットさせる技術

ブリヂストンが展開するタイヤ館では、他社がやっていない特別な作業を高らかに宣伝し、素人に高額なタイヤ代と高価な技術料を払わせようと企んでいる。

なかなか良い内容ではあるのだが、果たしてこの取り組みに対して満足感を得た客はどれほど居るのだろう。

 

それは、ホイールのセンターフィットなるものである。

 

言いたいことはよく分かる。しかし、従来の(不良な)作業を経てこのような振動に悩まされている人はどれほど居るのだろうか。

純正ホイールなら、ボルトとホイール穴とのガタツキがあっても、ホイールセンターの穴と車両の出っ張りがうまくフィットしてくれるので、大きな問題が起こるとは考えにくいのである。

古いクルマでは、鉄ホイールのセンターと車両とが錆で合体しており、剥がすのに苦労するということも経験した。つまり、かなりピッタリとセンターにフィットしているわけである。

 

意識の低い店の作業員は気にも留めていないだろうが、私は個人的なこだわりとして、30年ほど前からホイールをセンターに装着することには強い意識を働かせてきた。

別の場所にも書いたかもしれないが、私の作業手順な次のようなものである。いろいろな人の技を見て学んできたことであるが、結果的にタイヤ館も同じようなことをしていることになる。

 

(1)ハブボルトにホイールを引っ掛けたら、まずはナットをすべて手で取り付け、ホイールが落ちてこないようにする。最初から工具を使わないように、というだけの話である。

(2)エクステンションバーに取り付けたソケットでナットを手の力の範囲で締め付けていく。このとき、空いている方の手でホイールをグルグル回したり、タイヤを叩いたりしながら作業を進める。タイヤ&ホイールの重量が下向きに掛かっているので、位置が偏らないように回したり叩いたりしてナットがホイール穴にきちんとフィットすることを考える。

(3)工具を十字レンチに替えて、(2)と同様に空いた手でグルグル回しながら締め付け力を増していく。まだ片手で十字部分を掴んで回すだけなので、さほど締め付け力は大きくない。

(4)両手で十字レンチの両端を持ち、締め付けようという意識を持たず、ホイールが静かに回り出すぐらいの力を入れる。ハブベアリングの抵抗に打ち勝つ分だけの力を入れ、クルクル回しながら締めていく。

(5)上と同様の作業だが、ホイールの回転を急加速させるように十字レンチの手に力を込めて徐々に強く締め付けていく。

(6)ある程度強く締まったら、十字レンチを静かに逆回転させ、ホイールが回ったら急に反対向き(締め付け方向)にガツンと回して強く締め付ける。(3)から(6)までは一連の作業である。

(7)ここまでの作業でホイールナットは5〜6kgm程度の締め付けができているだろう。次に駐車ブレーキを軽く利かせておく(完全に固定せず、タイヤ外周に力を加えると回ってしまう程度でいい)。駐車ブレーキが利かない車輪では、タイヤが僅かに接地する程度(サスペンションスプリングが5o程度縮むぐらい)までジャッキを少しだけ下ろしておく。規定トルクで締めるまで、ジャッキを完全に下ろしてはならない。

(8)トルクレンチのプリセット値を6kgmぐらいから開始し、少しずつトルクを増しながら各ナットを均等に締めていく(駐車ブレーキが弱くて簡単に車輪が回ってしまってもいい。駐車ブレーキを徐々に強めて、車輪が回るのを許容しながら締め付けトルクを段階的に強めていく)。8〜9kgm程度で締めたら、駐車ブレーキを掛けた車輪はジャッキを下ろして少し接地させる。接地していた車輪は地面から離して半回転させ、また少しだけジャッキを下ろして接地させる。そして駐車ブレーキをしっかり掛ける。浮いている車輪はなく、すべて軽い荷重で接地している。

(9)9kgm → 10kgmで締めたら、ここでジャッキを完全に下ろす。

(10)ガレージ内で車両を人力で前後に揺り動かす(2往復ぐらいさせてゴムブッシュに掛かるストレスを発散させる)。移動の範囲は車輪が180度ぐらい回る程度でいい。そして、駐車ブレーキをしっかり掛けてから再度10kgmでナットを締めてひとまず完了。

(11)ガレージがら車両を出す機会があれば、その日の帰宅後すぐ10kgmでトルクレンチを掛けて締まり具合を再確認する。もうナットは回らないと思っていても、意外にも少しだけ回ったりするものである。タイヤ館では100q走行時に締め付けを確認している。

 

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