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肉!

肉!

肉!

現代社会において、牛ちゃんがお肉になるまでの工程を一般人が目にすることはない。

↑枝肉になるまでが絵で示されているので、見ても大丈夫)

 店のショウケースに並んでいる精肉(ロース、肩など)は、枝肉(牛ちゃんの半身)から部位ごとに細かく切り分けられたものであるが、枝肉でさえ、目にすることはめったにない。

(↑ちょっと生々しいところがあるので注意)

「都会の子供は切り身になった魚の元の姿を知らない」と大人は笑うが、実は「大人も切り身になった肉の直前の姿を知らない」のである。

ところで、焼肉店などでは「A-5」とか「A-4」とかいって上等な肉を使っているとアピールしているが、それは枝肉の時点での格付(肉質等級)である。

宣伝の中で、A-5やA-4を「とても貴重なもの」として取り扱っていることが多いが、果たして、それらはどれぐらい貴重(希少)なものなのか。

ちょっと確認してみよう。

 

次の表は、本ページ作成日の東京食肉市場における枝肉の相場(←リンク先は最新情報)である。

ここには和牛のパートを抜き出してきた(空欄は数値がゼロ)。

和牛以外に交雑牛、乳牛もある。あるにはあるが、交雑牛の出荷数は少なく、乳牛はほとんど取引がない。

そして、和牛の肉質等級の分布を見ると、面白いことが判る。

A-4とA-5を合わせると、その頭数の割合は全体の75%にもなるのだ。

すなわち、A-4やA-5はまったく珍しいものではなく、和牛なら4頭のうち3頭はA-4かA-5に合致するのだ。

価格(加重:単位は円/kg)を見ると、肉質等級が高いほど価格も高まるが、等級による差は極端に大きくはない。

つまり、A-4やA-5を「あまりにもありがたがる風潮」に、私はちょっとモヤモヤ感を抱くのである。

 

とは言うものの、枝肉は牛ちゃんの体そのものであり、部位ごとに切り分けると価値に差が生ずるので、単純な話ではなさそうだ。

想像で書くが、「A-5の枝肉から取った肩」と「A-3の枝肉から取った肩」には価格差をつけにくく、それを補填すべく「A-5の枝肉から取ったロース」は「A-3の枝肉から取ったロース」よりも大幅に高い価格をつける、ということになっているのではないか。

 

ここまでは国産の肉を見てきたが、豪州や米国からの輸入肉というものも考えなければならない。

いったい輸入肉のシェアはどれぐらいなのか。

調べてみると、消費量の半数近くを輸入牛肉が占めるというのだ。

 

そうなると、A-4やA-5の枝肉から取ってきたおいしい部位の精肉というものは、それなりに価値のあるものになってしまうのかもしれない。輸入牛肉にはA-5もA-4もない(分割されたブロック肉では、枝肉の肉質等級の設定はできない)のだから。

16APR2015

BEEF

 

【余談】

焼肉店の中に「一頭買い」を謳っている店があるが、枝肉は半身(半頭分)なので、ちょっと語弊がある。いや、もしかすると、本当に一頭分(同じ牛ちゃんの半身+半身)を買っているのかもしれないが・・・

また、内臓は枝肉を作る際に除去され、別の流通に乗るため、ホルモン(モツ)は「一頭買い」をしても含まれていない。「一頭買いだから新鮮なモツを食べられる」というわけではないのだ。

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ショウケースに美しく陳列された精肉を見て、牛ちゃんの命に思いを馳せることは難しいが、たまに枝肉がぶら下がっている店を訪れたり、丸焼きのイベントに遭遇すると、牛ちゃんの命をありがたく思う気持ちが芽生えるものだ。

それを子供に見せていいものか。いったい何歳ぐらいから大丈夫なのか。牛肉を食べないと言ったら困るので、ちょっと迷うところではある。

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2014年のふるさと納税で島根県の奥出雲和牛(すき焼き用)をもらったが、今年はどこの肉をもらおうかな。

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