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3 Series COMPACT

 

318ti

5AT

323万円

3シリーズコンパクトがモデルチェンジされた。初代コンパクトは商売として成功したようなので、新型も同じようなデザインとなっている。4気筒エンジンは 2.0L(318ti)と 1.8L(316ti)が設定され、ともにバルブトロニックが新技術で採り入れられている。

新しいtiは E46 がベースになっており、運転席からの眺めはセダンと同じになった。それに応じて残念なことにフロントシートはセダンと同様のものになってしまった。腰部分が非常に柔らかく短時間で疲れてしまう。ただし、リアシートは固めのクッションで、バックレスト形状が良く、ヘッドルームも意外に余裕があって良い。4人乗りも難なくこなす。2人家族でたまに親類や友人が乗る程度なら2ドアハッチバックでも不足はないだろう。ライバルとされる Mercedesの Cクラスクーペは外装デザイン優先でリアシートに大人は座ることができないので、tiのほうが実用的である。ラゲッジスペースはセダンでも広くないと感じていたが、tiでは全長の差がそのまま反映されて奥行きはとても短い。また、ホイールハウスの出っ張りが大きく目立ち、幅が広い部分は少ない。4人乗車時に荷物を積む機会がある人はセダンボディを選択すべきである。

さて、価格はセダン318iよりも57万円も安いのであるが、これはライバル(VW GOLF、AUDI A3、Alfa 147など)を見て設定されたのだろう。しかし、セダンと比べてどこでコストを削減したのか気になるところである。

318tiは205/55R16タイヤとスポーツサスが設定されているというのだが、乗り味は以前の15インチタイヤの318iセダン(2001年モデル)のような曖昧なフィーリングで、何となくフワついていて 安物に乗っている感じがした。ダンパー(SACHS製ではあるが)にかけるコストを削ったのか、また、ハッチバックのボディ形状になってボディ剛性が低くなったのが要因かもしれない。種々のグレードのセダンと乗り比べてみると見える部分に違いはないが、走りのクオリティの違いは明らかに感じられる。何が原因なのか定かではないが、セダンと同じクオリティで安くすることは不可能なので、見えないところでコストダウンを図っているのだろう。

他に気になった部分は、5ATをティップシフトで任意に変速させるときの反応が非常に遅いこと。学習機能によっていずれ反応が素早くなるのであればいいのだが。。。また、エンジンマウントが柔らかいようで、激しいスロットルワークでエンジンの揺れを感じるのは気持ちが悪い。そして、バルブトロニックの影響なのか不明だが、アクセルペダル踏み込み量が大きいときに操作と加減速との関係がリニアでなくなるのも気に入らない。ペダルの動きが渋いことも手伝って、雑なスロットルワークを呈してしまう。これでは同乗者から「運転が下手ね」と思われてしまうだろう。ただ、おとなしく走るときには問題はなかった。

良いところはエンジンの軽い回り方。いまどき6000rpmしか回らないのは数字上不満であるが、その範囲では高回転域に不快感がないのは気分がいい。2.0Lなのでパワーに余裕はないが、街乗りに使うレベルで問題はないだろう。バルブトロニックのメリットは短時間の試乗では感じ得なかったが、ある程度の大きさの負荷をかけて走る機会が多いドイツでは、ポンピングロスが減って燃費が改善できるのかもしれない。日本でも、高速道路での移動が多い人には同様のメリットがあるだろう。

316ti

5AT

299.8万円

1.8L(316ti)にも乗り、以前に乗った318tiと比べてみた。

318tiと大きく異なるところはタイヤサイズ(195/65R15)であるが、乗り味はどちらも似たようなもので、BMWにしてはダンパーの動きが渋いのが気になった。ATのティップシフトの反応が非常に遅いことも同じである。

エンジンの回り方は軽く、2.0Lと比べてそれほどパワーに差は感じなかった。同じ日に同じ場所で比べないと分からないレベルで、ファイナルギア比が318tiよりも高く設定されているにもかかわらず加速性能に特に不足はなかった。ハイギアリングによる伸びのある加速感(1st→2nd 全開加速)はスムーズで気持ち良いとさえ思わせる。ティップシフトでギアを固定して全開加速したとき、タコメータの針がゼブラゾーンに入ったところで勝手にシフトアップが行われるのは気にいらないが、これは好き嫌いの問題か。レブリミッタに当てないほうがエンジンには優しいともいえる。エンジン特性は全域フラットトルクなので、上限まで回すこともない。

今回新たに感じたのはステアリングギア比の速いこと。318tiも同じはずであるが、試乗コースでハンドルを大きく切る機会が多かったので気になったのかもしれない。慣れが解決するレベルだと思われるが、ギア比はE46初期モデルから変える必要はなく、アシスト量を減らすだけで良かったのではないかという気がする。

試乗車にはヤングラインという名前の内装(トリム)が設定され、外板と同じ色のパネルがアクセントとして装着されていた。外板色がであれば派手な内装になってしまう(左の写真)が、試乗車は外板色がチタンシルバーだったので流行のメタル調フィニッシュのように見えてしまい何も違和感はなかった。言い換えると、色によってはヤングラインを選択したという優越性や遊び心も感じられないものになってしまうということがいえる。

 

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